露ならぬ心の粘着性…古今和歌集 紀貫之
三月(やよひ)ばかりに物のたうびける人のもとに、又人まかりて消息すと聞きて、よみてつかはしける 紀貫之 露ならぬ心を花におきそめて風吹くごとに物思ひぞつく 古今和歌集 巻第十二 恋二 589 【語釈】 のたうび…「言ふ」の尊敬語「宣(のたう)ぶ」の連用形。 消息(せうそこ)す…訪問する。取次を依頼する。 〜そむ(初む)…し始める。初めて…する。 つく…(気持ちなどが)生じる。起こる。 【普通の意訳】 花びらについた露は、風が吹けばはかなく散ってしまうもの。 けれども、露よりもはるかに重い私の恋心を、あなたという花の上に置きはじめた時から、風に揺らされるたびに、悩ましくてならないのです。あなたの…
2025/03/23 20:47